四方山話ある親方の呟き
四方山話ある親方の呟き
拾八話
巡業の移動について
巡業といえば、お相撲さんの移動も昔とは様変わりしました。
暑い夏は東北北海道方面へ、寒い冬は九州沖縄方面へ。
でも今の日本列島は連日の酷暑で、季節感も様変わりしました。
時代と共に移動も、クーラーのついたバスや新幹線に飛行機と、効率的になりました。
その時代の移動というと、貸切列車が基本です。
その列車にも純然たる番付が反映されて、7両編成なら、真ん中の4号車がグリーン車と呼ばれ、役員・親方・横綱大関・行司・呼び出し・床山を入れた三役クラスと決まってました。
4人がけを1人で占領し、快適な旅の始まりです。
その前後の車両に幕内力士と、その番付の裏方らが2人がけ。
さぁ、若い衆の席は早い者勝ちの場所取り合戦です。
一応部屋別で乗る車両だけは決まってるんですが、列車がホームに入って来ると、我先に入り口に殺到します。
そうそう、コンビニもありませんから、売店で関取の弁当も買わないといけません。
バスなら重い荷物もトランクに入れてれば、ホテルまで送ってくれますが、列車だと駅まで担いでの体力勝負。
そうこうして、やっと場所取りした席も兄弟子から座っていき、大抵、新弟子は通路に新聞紙や段ボールを敷いて腰を下ろします。
到着する30分前にはタオルを絞って、関取の所へ着物を着せに行きます。
旅館に着いたらくたくたで、洗濯してお給仕、と若さゆえに出来る離れ業かもしれませんね。
船の移動で代表的なのは、青函連絡船か鹿児島港から離島を経由しながらの沖縄便。
冬の東シナ海は荒れます。
通常は欠航しても、こちらは貸切船です。
明日は相撲が行われます。
中止になると協会も勧進元も大赤字。
巡業部長が出港といえば、波にもまれ空回りするスクリュー音に不安を感じ、船酔いと戦いながら進みます。
やっと無事に奄美大島の港にヘロヘロになって着いたら、乗り込み初日で相撲が行われ稽古が始まります。
その経験に比べたら、少々の苦労は乗り越えられますよね。
やはり人間は厳しくされないといけませんかね。












