四方山話
四方山話
ある親方の呟き6
お相撲さんの食と呼び方
様々な料理の仕方によって日々飽きないように食べて体作りをします。空腹で厳しい稽古と食事に睡眠。
これによって浮世離れした肉体と精神力を養ってきましたが、最近はアスリートという言い方をしてるようです。
稽古の前にプロテインを飲み、水分補給して無理をしない。
努力と根性をおざなりにして平均で平等な数値化した世界になりつつあります。
『人間辛抱だ』は土俵の鬼初代若乃花の言葉です。
修行とは理不尽を受け入れる事です。関取になるとちゃんこに一品特別メニューみたいのもつきます。若い衆がアジの干物や鯖の塩焼きなら、金目鯛の煮付けや尾頭付きの鯛でしょうか。
でも関取は二三口つまんで、お給仕する付き人に『後で食べろ』と箱膳に隠して食べさせてくれる優しさもありました。それで何もかもチャラですわ。
さて皆さんが想い描く力士像の呼び方は3パターンあるでしょう。
『力士』はちょっと高貴な言い方で、特に文字として表現する時に使って普段はあまり使いませんし本人もほとんど自覚もありません。やはり世間一般的には『お相撲さん』でしょうか。
番付に関係ないこの言い方が私も大好きですし『お相撲さん』と声をかけられると自然と笑顔になりますね。
これが『相撲取り』と呼ばれると気分が悪くなります。食事の席で『おい相撲取り、ちょっと腕相撲しよや』と言われたら、その人は明日腕が使えず仕事できないでしょう。
『ちょっとお相撲さん、腕相撲してくれませんか?』と言ってくれたら手加減しますよ。
まぁ『揮担ぎ』や『下そっぱ』となると論外で現代では差別用語かもしれません。
力士は毎日稽古します。四股、鉄砲、すり足、申し合いにぶつかり稽古と常に体と体をぶつけて日々交通事故のむち打ち症。電車とバスに揺られてデスクワークしてる力自慢がいても実戦とは違いますからね。