四方山話
四方山話
ある親方の呟き4
番付けの価値と伝統
番付一枚違えば家来同然
一段違えば虫けら同然
これは角界に古くからある言葉ですが、ようはそれくらい大相撲は純然たる縦社会にあり、一段一枚でも上がるように頑張って稽古しなければならないと戒めの言葉と共に、統制を取るための厳しい例えといえるでしょう。 ですから力士は少しでも上に上がるために稽古をしますし、上に上がるともっと稽古しないといけません。
一番その一枚を感じるのが十両と幕下でしょうか。幕下以下は『若い衆』ですが 十両は関取になり月給、付き人、個室が与えられ、『資格者』と呼ばれ厚遇されます。
さて今場所は大関貴景勝が平幕の熱海富士を優勝決定戦で破り、4度目の優勝を飾りました。
幕内は 横綱、大関、関脇、小結、平幕と野球でいうとオールスター戦です。平幕も筆頭から17枚目まであり、熱海富士は15枚目でした。当然ここは大関貴景勝が有利で力の差は歴然でしょう。 しかしあっけなく立ちあい変化の叩き込みで勝負がつきました。
相撲と将棋ほどプロとアマチュアの差があるもんはないんだよ。30年以上前に父がテレビを見ながらもらした言葉です。
当時は
横綱千代の富士、北の海、陸の里
大関朝潮、北天祐、琴風、若島津
ベテラン麒麟児、出羽の花、富士桜
ヤングパワーの小錦、保志、北尾らと、番付が支配する世界でした。
あれから40年。
勝負は時の運と言いますが、横綱大関は協会の看板とは先人が築いた歴史の誇りと重みです。重みは積み重ねであり責任です。
観客は勝ち負けを越えた男のロマンに賛辞を送り、明日の活力にするでしょう。
大相撲はNHKが日本全国に中継する、甲子園と同じ国民的娯楽です。
みんながプロ意識を持って伝統と格式ある大相撲を自覚して、将来へ繋いでいかないといけません。